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青は寒色。時間が過ぎるのが遅く感じられる色。

しかし、人の生の中で、青という時代が過ぎるのはあまりにも早すぎる。

『視点に囚われるな』

高く、もっと高く。見渡せば空も海もどこまでも続いている。

 --限りはあるが果てはない--

人生もまた然り。
恥も外聞もない晒し上げの記録、今ここに。
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『お ま え の せ い や ろ が !』

森川は某音楽会社にバイトとして所属していた。

父が先代の社長、母は現在も専務として働いている。

夫が現在の社長であるので安心して働くことが出来た。

業務内容は主に受付業務であった。

ここは主に各楽器のレッスンをサービスとして提供しているので接客が主な仕事となる。

この時もいつものように受付をしていた。

客が少ないという訳ではないが多いとも言えない。

そのような状況なので決して忙しいと言える仕事ではなかった。

ふいに森川は自宅に洗濯物を出しっぱなしにしていることを思い出した。

ここは自分の夫の会社、まして忙しい仕事でもないので森川は自宅に戻って洗濯物を回収することにした。

ここで少し説明を加えるが、レッスンを受ける生徒の中には当然、急な事情で欠席するものもいる。

そういった時に電話連絡を入れる。

もちろん繋がるのは受付である。

もし受付がいない場合は本社の方に連絡がいき、こちらの支社の方に回ってくる。

さて、この受付不在の時も欠席の連絡を知らせようと電話が鳴り響いたが当然誰も出ない。

ちなみに森川家は支社から特別近いというわけではない。

森川が帰ってきたのは電話が鳴ってから約2時間後だった。

その時、丁度電話が鳴った。

森川は受話器を取る。

『あ、本社の者ですが。そちらの生徒のAさん、本日欠席だそうです』

「Aさん?もうレッスン時間終わってますよ?」




石赤「お ま え が お ら ん か っ た か ら や ろ が !」


俺「マジウケルww」

| 逆・閑話休題 | 11:44 | comments(0) | - | pookmark |
動物人間。
 ケイタは控え室の冷蔵庫に腰掛けていた。
この冷蔵庫は小型なので座ることに適している。
耐久性は多分適していないと思われるが、腰掛ける場合の高さには適していた。

授業の終了時間はとっくに過ぎていたがケイタは帰らない、もとい帰れなかった。
同僚である後藤がなかなか戻ってこなかったからである。
この日は後藤の最後に勤務日であったので、送別会と称して飯でも食べようということになっていた。

それで後藤は色々な方面に挨拶をしていたのだが、予想よりも時間がかかり過ぎている。
「遅っせーなー、あのおっさん…」
ケイタが一人でそう呟いたのと同時に控え室のドアを開いた。

入ってきたのは後輩であるアスカであった。
後ろ手にドアを閉め、俯き気味に歩みを進める。
いつもはうるさ過ぎるほど元気な彼女には珍しい様子であった。

「あ、お疲れアスカちゃん。おっさんも今日で終わりやねー」
ケイタのその言葉に堰を切ったかのように、俯いていたアスカの頬を雫が伝った。

あまりに突然のことにケイタは驚いてしまった。
どうしようかと考えあぐねていると後藤が控え室に姿を現した。

ケイタが泣いているアスカを指さす。
後藤は何も言わずにアスカを抱きしめる。

その光景の最中に控え室に来てしまった同じく後輩であるヨウコは固まる。
固まったヨウコに気付いた後藤はアスカにしたのと同じようにヨウコを抱きしめる。

我々は日常的に言葉を使う。
意思疎通のためであるが、言葉だけが感情を表す手段ではないのである。




馬谷「ってことがあってな」
俺「失礼かもしれんが、おっさんがやってると思うと笑ってしまうね」
| 逆・閑話休題 | 19:01 | comments(0) | - | pookmark |
桃。
 『というわけで、君は何がしたいかな?』

少年は少し膝を曲げ、目の前に佇む少女の目線にあわせた。
『というわけ』というのは少女の姉が両親ともに出かけたことである。
だから今日一日は少年が彼女の面倒を見ることを任された。

彼らにはほとんど年齢差がない。
彼女の姉が少年と同い年、彼女は2つ年下である。

今日、彼女の姉は数年後に入学するジュニアハイスクールの下見見学に出かけた。
姉は意欲的に勉強に励みたいと言い、両親もそれを希望した。
そうすると近場の学校では色々と不足がある。
それにいい学校はたくさんある。
色々見ておこうと、まだ中学入学まで数年ある今のうちに下見を開始した。

『おねえちゃん…っく』
少年の言葉など聞こえないように、彼女は姉の存在を求める。
必死に嗚咽を堪えながら、数年後にはこの場所からいなくなってしまう悲しみを抑えながら。

『僕はね、よくサッカーボールで遊んでいるよ。いつも皆忙しいって言って来てくれないからさ、一人でリフティングやったり、PKやったり。そのせいか、やたらとボール捌きがうまくなっちゃった。ははっ、体育で先生に褒められたくらいだよ』

そのような少年の言葉は聞こえなかったように、少女は俯いて嗚咽交じりに姉の名を呼び続ける。

すると来客のチャイムが鳴り響いた。
『あれ?誰だろう?ちょっと待っててね』
少年は来客応対のために玄関に赴いた。

ドアを開けて立っていたのは少年の友人二人だった。
脇にサッカーボールを抱えた活発そうな少年と、絵本を抱えたおとなしめな少年だった。

『やぁ君達か。どうしたの?』
『お前が今日、あいつの妹のお守りだって聞いてな』
「俺達も何か手伝えたら、と思って…」

持つべきものは友人、という異国のことわざをこのときは聞いたことがなかった少年だったが、それと同じ気持ちが胸に芽生えた。

少年3人が部屋に入ると少女はまだ俯いて座っていた。
『やぁ待たせたね。僕の友達も君と遊びたいって来てくれたよ!』
『よろしくな』
「こんにちは」

少女はふと顔をあげ、少年達の方を見たが、また伏せてしまった。

『おいこら、挨拶はどうした、挨拶は』
『こらこら、恐がらせないでくれよ』
少女に掴みかかる勢いの少年を後ろから羽交い絞めにして止める。

二人の少年が組み合っているの放っておいて、おとなしめな少年が少女にゆっくりと近づく。
「君、絵本好き?」
膝を折って少女の目線に合わせ、色鮮やかなデザインの本と差し出した。

「一緒に読もうよ」
『…っく』

ゆっくりと、だが確実に少女は頷いた。



『ちぇっ。せっかく俺がボール持ってきてやったのによ』
『まぁまぁ。後で時間あったらサッカーもしよう』


「じゃあ読むよ。桃太郎。あるところに(ry。おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯へ行きました。」
『……』
「川の上流のから大きな桃が(ry。うまそうだ、おじいさんと食ろうてやろうと、おばあさんは家へ持って帰りました」
『…』
『待って』
「何だい?」
『それってどれくらいの大きさの桃?』
「赤ちゃんが入ってるくらいだよ」
『良かった、それならおばあさんでもギックリ腰を気にせずに持てるね』
『おとぎ話なんだからそんなこと気にしてやるなよ…』


「続き読むね。イッヒッヒ、でかい桃だ。今すぐこの鉈で、ぺロリ(鉈をなめる音)、真っ二つにしてやるからなぁ!」
『なんかさっきからおばあさん危なくね!?』
「気のせいだよ」
『そう思いたかったけど刃物舐めるのは尋常じゃねぇよ!?』


「続き読むね。中から男の子が出てきました。桃から生まれたので桃太郎と名づけられました。」
『待って』
「何だい?」
『桃から生まれるって生物学的にはどうなんだろう?』
『お前はまた…おとぎ話なんだからな…』
「確かに、俺もそれを不思議に思った。ありえないよね」
『乗るのかよ!その話乗っちゃうのかよ!』
『…お尻、じゃないかな…』

それまで黙って聞いていた少女がおずおずと、恥ずかしそうに声を出した。
『お尻…桃…っは!』
「そうか、桃はおばあさんの尻を暗喩している!しかし高齢出産だといくら小さな農村とは言え、知れ渡るのは恥ずかしすぎる!」
『小さな農村ゆえに確実に知れ渡る…まして田舎だ…人の口に戸は立てられないぞ…!』
「だから、桃から生まれた」
『桃太郎!』
『…気は済んだか?』

「おっと、いつにもなく熱くなってしまった。続き読むね。桃太郎は立派な若者に成長しました。しかし全裸でした。」
『着せてやれよ!』
「桃太郎は言いました。おばあさん、黍団子をお願いします。おじいさんは僕にスーツを」
『成人だからスーツ?』
「桃太郎は鬼が島へ(ry。道中でキジ、サル、犬を黍団子で釣って仲間にしました。」
『待って』
「何だい?」
『またかよ…』
『いくら畜生どもが馬鹿でも団子ではずっと従えさせることは不可能だと思う。』
「一理あるね。じゃあ桃太郎はどうしたんだい?」
『彼は畜生共が組んで自分の首を狙いに来るのを恐れた。だから他に敵を作ってそこに目標を集中させ、力を統一したんだ』
『なんたるせいじてきしゅわん…』
『つまり最初は鬼を敵としていなかった。後付だったんだよ』
「一理あるね」
『ねぇよ!!!!』

「続き読むね。もう最後だけど。そうして鬼を倒した桃太郎は金銀財宝ザックザクで帰りました。めでたしめでたし」
『面白かったねー』
『…』コクリ
『いや、お前らがそれでいいならいいけどよ。』


その晩、姉と両親が帰ってきた。
妹は姉に今日一日がどれほど楽しかったか、どれほど勉強になったかを物語った。
勉強はどこででも出来る、だから行かないで、と懇願した。

詳しく話を聞いた姉は、妹と友人の少年を二人にすることはどれほど危険かを身にしみて理解した。
姉は家を出ることを辞めることを両親に伝えた。

(私が見張っていないと、この子はとんでもない変態になってしまう…!)

悲しきかな、姉の願いは叶わない。
だが妹の願いは叶った。
家族全員で幸せに暮らすというささやかな願いが。


〜参考資料〜
外山滋比古著・『ことわざの論理』
著者不明・『真・桃太郎』
ゆうきゆう・ソウ著『おとなの1ページ心理学』

〜cast〜
俺と俺の脳内友人達
| 逆・閑話休題 | 10:16 | comments(0) | - | pookmark | 昨年の記事
とあるN.Y街で。
「タバコがもうないな…」
大学教授であるサイトウは学会で発表のためにニューヨークを訪れていた。最終調整を行っていると落ち着かないためかタバコの消費が早くなる。どうやら今し方最後の一本を吸い終えたらしい。
「仕方ない。買いに行くか」
重い腰をあげ、サイトウはホテルをあとにした。
街角のタバコ屋につくといつものタバコを選んだ。
「海外だと70セントか。本気で移住を考えようかな……ん?」
サイトウは財布を漁るが1ドル札が見つからない。10ドル札しか財布に入ってなかった。
「まぁ、いいか」
サイトウは10ドル札を店員の娘に渡し、タバコを購入した。
店員の娘がお釣りを数え上げる。
『70セントだから、80、90、1ドル。ここまでオーケー?』
娘は10セント硬貨を3枚サイトウに渡した。
「オーケー」
『では大きい方。2、3、4、5、6、7、8、9ドルお返しします。さっきの1ドルと足して10ドルね』
そう言った娘の手には1ドル紙幣が8枚しか握られていなかった。足しても9ドルにしかならない。

「ちょっと待て、何故足す必要がある?」
〜サイトウの分かり易い解説〜
(正)10ドル(支払い)=70セント(商品)+9ドル30セント(お釣り)
(誤)70セント(商品)+30セント(お釣り)(1ドル)+1ドル紙幣8枚(2、3、4、5、6、7、8、9)(お釣り)=9ドル(支払い)
つまり商品分がお釣りに含まれている。

「何故1ドル以下のものを買ってお釣りが9ドル以下になる?全部合計したら10ドルにならないとダメだろうが」
『そんな難しいことはよくわからないけどお釣りはこうやって出すものなのヨー』
〜ヤクザやなぁ!!!!!〜
「ん、今なんか聞こえた?」
『さぁ?』

2人の議論は夜更けまで続いた。
| 逆・閑話休題 | 13:41 | comments(0) | - | pookmark | 昨年の記事
欠如。
『 大事なものがある。一つは思考能力、もう一つはそれを実行できる余裕である。ある陸軍将校は訓練のために余裕のない生活を送っていたが、体調を崩したので一週間ほどの療養期間を得た。その間に現在の状況を振り返ってみた。そして気づいた。軍部は腐っていることに。そして気づいた。人を傀儡にするためには思考を奪うこと、ひいては余裕を奪うことに。』

……ダメだ、レポートがまとまらん
関係ないですが今日はツッコミ疲れました
| 逆・閑話休題 | 01:20 | comments(0) | - | pookmark |
My name is...
 mixiで高校の時の片思い人(Yさん)を見つけたので酒に酔った勢いでメッセージを送ってみました
メッセージは英語で送れと書いてあったので英語りあんを発揮して送ってみました
そのやり取りを書いていきたいと思います
めんどいので英語は端折ります

俺「君のこと知ってる気がするなぁ。英語あまり喋れないけど君とお近づきになりたい。相手してくれますか?」

Yさん『やぁ☆メッセージありがとう。ごめん、あなたのこと知らない。どこの高校行ってたの?』

俺「俺はS高校を卒業したよ。苗字はN。クラスメイトはノセスと呼んでいたよ。君はクラスで一番可愛かった!まぁ今でも可愛いと確信しているがね。」

Yさん『N・・・・・・思い出した!E君と仲良かったよね?今どこの大学に通ってるの?私はM大学に通ってるよ。可愛い?ありがとう。君からそんなこと聞けて嬉しいよ。』

俺「そうだね、仲良かったね。長いこと会ってないけどね。M大学通ってるの?知人もそこに通ってるよ。俺はO大学に行ってる。そうだよ、君は可愛い!こんなこと他の誰にも言わない。君だからだよ☆」

Yさん『ありがとう!N君はガールフレンドいるの?大学で何勉強してるの?夢があるなら聞かせて欲しいな☆』


あれ?フラグ立ってる?
これフラグ立ってる?
ていうか最後RIP SLYME?(混乱中

えーと、続く?(ぉ
| 逆・閑話休題 | 00:22 | comments(0) | - | pookmark |
逆風の果てに。
『人生の幕を下ろすにあたって少し自分の人生を振り返っておこうと思ったのでここに記す。私は明日、コンサートを控えている。観客としてではなく、一人の奏者としてである。思えば私が音楽の道に進んだのも友人に由来している。私は特に音楽が好きだった訳ではないし、無論楽器が好きだった訳でもない。そんな私が何故音楽にたずさわるようになったかと言えば先に挙げた友人に知り合ったからである。彼はハイスクールに上がると同時に知り合った友人である。私のよう地味な人間に進んで話しかける彼の押しの強い性格からも窺えるが、半ば強引に音楽の世界に引きずりこまれたのだ。それに加えて音楽のことを語る時の彼の瞳に引きずりこまれた。チェロに触れている時が一番幸せであると語る時の彼の瞳は輝きに満ちていた。だから私もチェロの奏者になりたいと思った。しかし、私は人数とじゃんけんの関係でテューバの奏者になった。それまで楽器に触れた事が無かった私に言う資格もないが、この楽器はあまり格好がよろしくない。加えてとても重い。だが、吹いてみるとなかなか面白い。主旋律がほとんどなく、伴奏が主であったがどんどん楽しくなっていった。
しかし楽しい事ばかりではない。朝から晩まで練習が続く毎日。夏場は倒れる者が続出した。時折体育祭などで文化部のはずの吹奏楽部が活躍をしている場面を見かけるのはこのあたりに理由があるのだろう。何人か辞める者もいた。けれども私は辞めなかった。卒業までテューバを手離すことはなかった。当時は自分でもよく続いたものだと思った。誘った自分が言うのもなんだが、と前置きして彼は私に何故卒業までクラブを辞めなかったかを尋ねた。その時に私は初めて気付いたのだ。辛さがあるからこそ楽しさが分かる。光がない場所に影は出来ないように影のない場所にも光はないのだ。そうだ、この気持ちがあったからこそ私はここまで来れたのだ。明日のコンサートも楽しもう。

追伸
この遺書まがいの手紙を読んだ人へ。
幾度もこういった物を書いてはそのまま放置しているので読むのが初めてではない人もいるかもしれない。目にタコが出来ると愚痴をこぼしてもいい。読まずに食べてもいい(腹は壊さないようにな)。しかし自分にとって大切な気持ちだけは忘れないでくれ。

テューバ演奏者より』



「……やっぱりアーティストは変な人が多いのかな」
手紙を折り畳みながらヨシハルは呟いた。ズボンのポケットに手紙を押し込み、部屋を見渡す。
「他には特にないか。」
確認を済ませ、ヨシハルは次の部屋の清掃に向かった。
| 逆・閑話休題 | 03:44 | comments(0) | - | pookmark |
京都ロック。
克也がヨシハルにダブルデートを持ちかけてから数日後、ヨシハルは京都三大奇祭りのことを思い出した。
そのうちの一つである「火祭り」は他の二つに比べると最悪小火騒ぎが出るくらいで割合まともなのでそれに行こうとヨシハルは提案した。
克也が特に反対することもなかったので行き先は火祭りになった。
「しかし克っちゃんの彼女が俺の彼女の友達だとはね」
「う、『昨日の友は今日の敵』!」
「克っちゃん、言いたいことはなんとなくわかるけど全然違うからね」
二人は神社の階段に並んで腰掛けて女性陣の到着を待っていた。
火祭りはもう始まっていた。あたりを裸の男たちが火がついて燃えてる神輿を担ぎながら通り過ぎる。その後ろに移動式のやぐらが火に包まれながらつづく。
まさに奇祭りと呼ばれるに相応しい奇妙な光景だった。
「ねぇ克っちゃん。ダブルデートだって言ったけどやっぱり二人きりにならない?」
「俺はノーマルだぅ。」
「誰も君となんて言ってないよ。お互いが彼女とさ。」
「自信ないぅ。」
「大丈夫だよ。」
「……自信ないぅ。」
「……わかったよ。」
そのうち彼女たちが来た。二組は人混みの中を歩き出した。
なんとも歩きにくかったがヨシハルには好都合だった。
なんとかして克也に自信をつけてもらいたかったのでヨシハルは彼女を連れて克也たちから離れた。
(さて、俺も頑張らないとな)
「見て、ヨシハル君。キレイだね。」
彼女が指差した先には勢いよく燃える火の塊があった。火の粉を散らしている。
外国人観光客も多く、彼らは塊の方を写真に収めていた。
(甘いな。通な俺は地面に落ちた火の粉の方を撮るぜ!)
その時のヨシハルは日本人から見ても滑稽に見えたに違いない。
ましてや外国人の目にはどう映ったのだろうか。カメラを地面に向けながら歩く青年の姿は。
(どうだ、かっこいいだろ!?)
ヨシハルが振り向いた場所からは彼女の姿は消えていた。
後日ヨシハルの携帯のディスプレイに『別れましょう』の文字が表示されることになるのはこの時の彼はまだ知る由もなかった。

彼女がいなくなって手持ち無沙汰だったのでヨシハルは克也の様子を見に行くことにした。
彼は克也を見つけると感動を覚えた。
克也も地面にカメラを向けて歩いていたからである。
当然傍らに彼女の姿はない。
(克っちゃん……最高だよ君は!)
そんな克也に外国人観光客と思われる男性が話しかけた。
「what are you doing?(何をしているの?)」
いきなり話しかけられたことに加えてその相手が異国人だったので克也は気が動転した。
付け加えておくと彼は人見知りで、そのうえ英語が苦手である。
「あ、あ、アイアムアボーイ!」
彼は叫んだ。負けじと異国人も叫ぶ。
「Are you crazy?!(基地外なのか?!)」
「ノー!アイムノットクレイジー!アイムクレイジーボーイ!」
友人の英語力が恐ろしいという気持ちと、この会話を最後まで見届けたい好奇心との葛藤に悩まされながらもヨシハルは克也を助けるために走り出した。
| 逆・閑話休題 | 01:33 | comments(0) | - | pookmark |
某パプワ君。
春。桜舞う季節である。だがヨシハルはそんな桜をゆっくりと堪能している暇はなかった。大学入学後初の講義に早々と遅刻しかけていたからだ。
(まだ治らないな、この癖)
散った花びらが敷き詰められた舗道を走りながらヨシハルは思った。癖というのは寝起きの悪さ、加えて根拠のない楽観的な考え方のことである。例えば小、中、高、と同じで電車も使わずに通える距離だから少し寝過ごしても大丈夫という訳のわからない論理が挙げられる。高校の時も同じ論理でよく遅刻していたがそれでも懲りないトリ頭も癖に入るのかもしれない。
やがてヨシハルは最後の坂を上りきり、大学の正門をくぐり抜けた。と、同時に脇にある花壇で佇む金髪の青年を見つけた。何をやっているのだろうか、と気になったが時間も残されてなかったのでヨシハルは教室に向かった。
一時限目も終わり、次の講義に行くためにヨシハルは移動をする。移動中、今朝金髪の青年がいた花壇の方をふと見てみるとなにやら人だかりが出来ていた。
ヨシハルはやはり、と思った。というのもヨシハルにはもう一つ癖があった。それは一般的な人とは違う空気を放つ人、要するに変人に興味を抱き、友達になってしまうというものだった。補足をしておくとこの癖は人に限ったものではなく、動植物や無機物にも当てはまる。よく知らないおじさんから『共食いするなまず』を数匹もらって飼育していたこともあった。
さて、話を戻してヨシハルはすぐさまこの金髪の青年を取り囲む人だかりの方へ向かっていった。群がる人の隙間から見えたものは花壇上ろうとするわけでもなく足を空中に向かってあげて階段を上ろうとする動きを繰り返す金髪の青年だった。
ヨシハルは多少ではあるが変人の行動分析には理解があったがこの動作は何をしているのか見当もつかなかった。
やがて金髪の青年はその動作をやめた。そして何かを諦めたかのようにうなだれた。
長い沈黙が訪れた。取り巻いていた人達も飽きたのか次の講義があるのか徐々に離れていった。ヨシハルも次の講義があったがこの青年を前にしてはどうでもよくなっていた。
そして意を決して青年に話しかける。
「何をやってたの?」
青年はうぅ、と小さくうめきながらヨシハルの方を向いた。
「蝶になろうとしたんだぅ」
衝撃だった。質問をして情報を得たはずなのにさらに理解が困難になってしまった。
ここから今のようなやりとりが繰り返されるがヨシハルが理解出来たのは昼休みに入った少し後の頃だった。
要約すると花壇で蝶を見つけた。きれいだったので蝶になるにはまず飛ばなければならない。右足が地面につく前に左足をというどこかで聞いたような動作を繰り返せば飛べるのではないかと考え、実行に移していた。
「なるほどね。一応筋は……っと、もうこんな時間だ。そうだ、一緒にお昼食べない?まだ聞きたいこともあるし。俺はヨシハル。」
そういってヨシハルは右手を差し出した。
青年はう、と言いながらその手を握り返した。
そして言った。
「克也」
| 逆・閑話休題 | 02:00 | comments(0) | - | pookmark |
クレイジーボーイ。
昨日は書けなくて申し訳ない
まぁ俺は日をまたいで書いたりその日のうちに書いたり一定してないことが多いから黙っておけばうやむやにできないこともないんですが(卑怯者だね(永沢君風に
さて、今日はネタがないのでまたネタでも書きますね


これはヨシハルが大学生、季節はだんだんと暑くなってきた頃のことだった。
大学は夏休みに入り、ヨシハルは昼まで惰眠を貪る生活になっていた。ヨシハルの部屋は風の通りが良く、冷房を入れなくても涼しいという環境であったのでそれも惰眠の一因になっていたのかもしれない。
ある朝、ヨシハルがそうして寝ていると妙な寝苦しさを感じた。
腹の上に漬物石を乗せられてる感覚だった。ヨシハルの家は京都の中でも古い部類に入るので霊的なものがでてもおかしくなかった。もし腹の上に何もなくて霊的なものによる金縛りだったらどうしようかと恐れつつもヨシハルはゆっくりと目を開けた。
寝起きの目にははっきりとは映らなかった。だが、それはヨシハルがよく知っているものだったので安心した。
「何してるの、克っちゃん」
文字通り腹の上に乗っていたのはヨシハルと同じ大学に通う大学生の克也、通称克っちゃんだった。
「う、読書」
「とりあえず俺の上からどいてくれるかな」
彼はもうすっかり大学の仲間内ではお馴染みになった口癖の「う」を相槌代わりに発し、ヨシハルの上から窓際においてあった座椅子に移動した。手には確かに雑誌のようなものが握られていた。まだ視界がはっきりしないヨシハルには表紙が見えなかった。
「克っちゃん、それ何?」
「う、観光案内」
「克っちゃん京都の人だから必要ないでしょ」
う、と目を伏せる克っちゃんの様子が何かおかしいとヨシハルは気づいた。
「ヨシハル……俺とデートしてくれぅ!」
克っちゃんが普通の人とは違っておかしいことには気づいていて多少は慣れていたヨシハルだったがこの発言には驚かされた。
「克っちゃん、俺に彼女いるの知ってるでしょ。だから……」
「う、俺にもいる」
「は?じゃあなおさら俺とデートしたらだめでしょ」
「何いってる。誰もお前と二人きりでとは言ってないう」
「さっきの聞く限りではそう言ってたよ」
とにかく、と克っちゃんは説明しはじめた。夏休みに入る前に彼女が出来た。それは良かったがはじめてのデートはどこにいったらいいのか見当もつかない。
それで観光マップを見ながら歩いてたがやっぱり見当もつかない。
そういえばヨシハルには彼女がいた。アドバイスをもらうついでにダブルデートを頼もうとしてヨシハルの家にやってきた。だがヨシハルは寝ていたので上に乗ったついでに観光マップを見ていた。
「う、そういうわけだう」
「何でついでに観光案内見てたのかがわからないけどいいよ、ダブルデート」
「う、本当か!?ありがとう!」
「それにしてもなんか漬物くさいな、この部屋……」
「う、俺のオナラは漬物くさいらしい」


それからしばらくは漬物が食べられなかったヨシハルであった。
| 逆・閑話休題 | 19:25 | comments(0) | - | pookmark |